前6時、スタート。
コース序盤の激坂は、噂どおりだった。
立ち漕ぎでバランスを取りながら、一歩ずつ押し上げるように進む。最初のヘアピンまでは、この日いちばん厳しい傾斜だったように思う。
焦らない。
最初の15分は、ペースをつかむことだけを意識して淡々と回す。
やがて美鈴湖。私同様、朝早くから釣りをしている人がいた。朝は気持ちがいいよね。
その先は舗装がきれいになり、走りやすい。勾配は相変わらず楽ではないけれど、一定のリズムで登れるようになる。渋池の静かな水面が印象的だった。
あとは、ひたすらペダルを回す。
道路には蝉、轢かれたベビ、みやまクワガタ、みみず、など、生き物とにかく多い。
朝の光が木立の間から差し込み、森の中をやわらかく照らしている。直射日光は木々が遮ってくれるため、快適だった。やはり早朝がいい。
しばらく登り続けると、不意に視界が開けた。
「こんなところがあったんだ。」
思わず声が漏れるほど爽快な景色だった。広がる山肌では牛がのんびり草を食み、クルマユリをはじめとした高原の花々が風に揺れている。
北アルプスは雲の中だったが、南側の山並みはよく見えた。
午前8時、美しテラスに到着。
スタートからちょうど2時間。
渋峠へのチャレンジ、飯綱山、乗鞍、そして今回のツール・ド・美ヶ原。
一つひとつ走るたびに、自分の体が少しずつ分かってきた。
この距離、この獲得標高ならどんな疲れ方をするのか。どれくらいの時間でどこまで登れるのか。暑さの中ではどれだけ水が必要で、補給食はどのくらい持てば安心なのか。
数字だけでは分からない、「自分自身のデータ」が少しずつ蓄積されている。
以前は未知だった山も、今では「このペースなら最後まで走れる」「ここで補給しておこう」と考えながら登れるようになった。
経験がという財産がまた増やせた。
帰りは、一転して気持ちよく一気に駆け下りる。
途中、飛んできたアブに胸を刺されるという思わぬ出来事もあった。
それも含めて、夏の美ヶ原らしい一日だった。
浅間温泉のホットプラザ浅間で汗を流した。
サウナもあり。いい温泉だ。
これまで積み重ねてきた経験を踏まえ、次のチャレンジをしたい。