↑写真は飯綱山 高妻山の登山道から見下ろす。
今回はこの山を長野市から北を上に時計回りに一周するライドの記録。
午前4時20分。
まだ夜は少しだけ名残を残している。街灯の光は必要だけれど、空はもう朝へ向かって動き始めていた。
夏の昼間は暑い。だから朝がいい。
少しでも涼しい時間で遊ぼうという計画。
市内から七曲りの登りへ入る。
石畳のような丸い凸凹舗装だった。まるで、たこ焼きを並べたような道である。振動がきつい。その上、勾配も容赦がない。
折れかける心を励まし進む。
それでも、最初のヘアピンカーブまでたどり着くと、坂はほんの少しだけ優しくなった。あのままの勾配だったら・・・・。
息を整え、ペダルを回し続ける。高度だけが積み重なっていく。
大座法師池まで来ると、不思議と空気が和んだ気がした。
5時44分。飯綱山一の鳥居登山口。
ここから先は、劇的な登りはない。登り下りをくり返しながら、戸隠へ。
走るたびに空気が変わる。森の匂い、湿った土の香り、鳥の声。
自転車だから感じられる感覚を満喫する。
100メートルほどだったが、新しく舗装された道があった。タイヤが吸い付くように転がる。ああ、道が新しいだけで、こんなにも気持ちいいものなのかと思う。
戸隠中社を過ぎる頃、この日の一番高い場所を越えた。
そういえば、ワールドカップのノルウェー対イングランド戦が始まっている時間だった。帰る頃には結果が出ているだろう。
そんなことを思いながら、薄手の長袖に着替えた。
夏でも、下りの風は少し冷たい。
戸隠キャンプ場を過ぎると、ようやく長い下りが始まる。
腕時計の高度表示を見る。この数字は、これから使える位置エネルギーだ。
ここまで脚で貯金してきたものを、重力が少しずつ返してくれる。
ペダルを止めても、自転車はよく進む。
途中、黒姫山が大きく姿を現した。
さらに下ると妙高山まで見える。
どちらも動かない山なのに、こちらが走っているせいで、山の表情だけが次々と変わっていく。
車はまだ少ない。早朝という時間には、それだけでも価値がある。
一方で、荒れた舗装もある。それでもドマーネは嫌な顔をしない。細かな振動をうまく受け流し、前へ進む。
信濃町から長野市へ通じる長いトンネルを抜ける。
あとは長野の街へ向かって、一気に高度を使い切る。
7時58分、自宅に到着。
テレビをつけると、ワールドカップ、ノルウェー対イングランド戦は、まだ終わっていなかった。
延長戦。そして最後はイングランドが勝った。
この日の補給は、水500ml、アクエリアス500ml、塩分チャージタブレット3個、飴2個、ゼリー飲料2個。
61キロ走破するのに十分な量だった。
時間を味方につければ、同じ道でも景色は少し違って見える。
「動は時をもって良しとす」を体験できたライドだった。