コートールド美術館展

現在愛知県美術館で開催中のコートールド美術館展はセザンヌやルノワール、モネ、ゴッホ、ゴーギャンなど19世紀後半から20世紀初頭にかけての画家の作品がお好きな方にはオススメです。

実は私、2回見に行きました。必ずオーディオガイドを借りて作品の解説とイメージソングを聞きながら観るのですが、2回目はガイドは借りず、絵を思いのままに観ました。2回だと初回では気がつかなかったことや別のひらめきに出会えるのでいいですね。もう一回行きたいぐらいです。

作品はもちろん素晴らしいのですが、ちょっと違った視点からメモを残します。

コートールドが画廊から絵画を購入した際の領収書が展示されているのですが、その領収書のデザインが秀逸です。是非領収書もじっくり観て欲しいです。特に書体と紙面におけるバランス。


格調高くデザインされた画廊の領収書のフォーマットの中に、作者、タイトル、価格がタイプされています。セザンヌの絵が8000フラン・モネ2500フラン 当時の額で800万・250万ぐらいでしょうか?正確には分かりませんが、絵を手にした時のコートールドの喜びやそれに至るまでの考えに思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

さてもう一つ、ゼザンヌの言葉「自然は球体、円錐、円筒として取り扱われねばならない」というのは学校で聞いた事がありますが、まさかこの言葉を記した手紙の直筆の原文が観られるとは思いませんでした。それにしてもセザンヌはこの言葉を残すぐらい本当に真剣に対象を見つめていたのでしょう。近くにキューピットの絵があるのですが、そうやって対象を見つめていくとこういう絵が描けるんだなと頷けるセザンヌのような感性は私には無いようですが、絵からは力を感じます。

そのキューピッドの絵のモチーフは今も当時のセザンヌのアトリエに現存していて、展覧会の最後の部屋で流しているビデオ紹介されています。アトリエは窓が大きくて光の入る心地よさそうな制作空間です。

最後に、この展覧会に集まった絵が、コートールドによってどのように飾られていたのかが分かるような展示方法を取られていて、それにより、絵が生活空間の中で精神の豊かさにどれほど貢献するのかを感じずにはいられない展覧会だったという事も書き残しておきたいと思います。

次は改修されたイギリスのコートールド美術館で、是非ともこれらの名作に会いたいと思います。

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