patagoniaとクライミング

アウトドア用品ブランドのパタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)が、クライマーであることを知っていますか?
彼はパタゴニアを設立する前、岩壁登攀のために、ピトンやハーケンなどのクライミング用具を手作りして販売していたそうです。

上の写真は73年頃に使われていたロゴの復刻版とのことで、今の洗練されたロゴと異なり、手描きの雰囲気を感じさせてくれるデザインが気に入ってTシャツ(メンズ・キャプリーン・クール・デイリー・グラフィック・シャツ)を購入した。

これが今のロゴタイプ

クライマーが世界的なブランドを作ったというのが僕にはすごく嬉しい。

私は2001年・2002年・2007年とヨセミテに通い2008年にエル・キャピタン(El Capitan)のサラテ(Salathe Wall)谷底からの標高差、約1,000mを完登することができた。

サラテはエルキャピタンに2番目に拓かれたルートで、冒頭のイヴォン・シュイナードが名付けたルートとされている。由来はヨセミテの初期開拓者の 1 人であるジョン サラテに敬意を表してとのことだ。

ちなみにサラテの初登攀は1961年にチャックプラットとトムフロストとロイヤル・ロビンスによって成された。
シュイナードのが拓いたルートも多く存在していてシュイナード〇〇と名付けられたものが見られる。

さてエル・キャピタンで最初に拓かれたルートは1958年のノーズ(The Nose)だが、岩にボルトが100本以上打ち込まれて登られたルートなのに対し、サラテは高低差がほぼ同じなのにたった15本しか打たれなかったということだ。(ノーズはエルキャピタンで一番目立つ中央部分だというルート上の性格もあるだろうから仕方ない面があるかもしないけれども。)

実際に壁の中で3泊4日もかかってルートを辿って思ったのは、こんな凄いところを人類で初めて登り切るのに使ったボルトがたった15本とは信じがたいということだ。よく安全が確保できたものだ。

その頃シュイナードは自分の会社の販売の主力だったピトンが岩を傷つけていたことを知り、その後販売を縮小して岩を傷つけずに登攀が可能な製品の開発に力を入れたとのこと。

こうした岩に対しての態度からも分かるように、自然をそのままに後世に残していきたいという考えが彼の「地球が私たちの唯一の株主」という考えに繋がっているのには心から頷ける。

本質を見失わないブレない生き方は、デザイン・ブランドづくりのお手本になる。
新旧のロゴを見て思った。


今は軽くて強靭なカムがあるので、私もその恩恵を受けて登った。

余談だけど、サラテを拓いた一人、トムフロストには2001年の夏、キャンプ4で偶然出会い握手をしてもらった。力強く温かい手だった。
あなた達がエルキャピタンを見上げ想像し、実現したルートに私は学ばせてもらいましたよ。
ありがとう。

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